「あけみさん、ちょっとお話があるのだけどいいかしら?」
「はい。どうかされましたか?」
「匠との結婚式は確か来月の20日だったわよね。」
「そうですね。タイヤの日にあげようということだったので、私は別にそんなのにこだわる必要はないと思ってるんですけど。」
「私も結婚したのは大安だったわ。でも結局その旦那とは離婚したしね。そういう名目に惑わされるのは良くないと思うのよ。」
「それは一理あるかもしれませんね。ですがもう日取りは決まってますので。」
「今から帰えてもらいなさいよ。」
「それはさすがに無理ですよ。もう招待状も送ってますし、来客の方々も忙しい中来てくださるので。」
「そんなことを言うのなら私たちは行かないわよ。」
「え、どういうことですか?」
「この話は匠から何か聞いてないの?」
「いいえ、私は特に何も。」
「あの子はそうやって自分に都合の悪いことはすぐに隠すのよ。」
「どういうことでしょうか?」
「たか子があの劇場の内定を獲得したのよ。」
「ああ、そのことですか。」
「そうよ。とんでもない大手なんだから。」
「でもどうしてそれが匠にとって都合が悪いことなんですか?」
「そりゃそうよ。あの子は大学進学に失敗して今もフリーターみたいな仕事をしてるんだから。妹の輝かしい経歴を隠そうとしてるのよ。兄弟でこんなに差があるのかって惨めになるからね。」
「こんなことを匠は考えませんよ。家族の幸せを何よりも思ってる人ですから。」
「そんなわけないでしょ。あの出来損ない。自分のことだってきちんとできてないわけだし。」
「匠はしっかりしてますよ。それにお母さんはフリーターって言ってましたけど、匠はフリーランスで働いてるんです。それは全然違うものですから。」
「どっちにしてもまともに就職もできてないってのは一緒でしょ。」
「別に就職だけが全てではないですから。」
「そんなことないわよ。大人ってのはどれだけ稼いでるか、どれだけ大手企業で働けるかってのが大事なのよ。たか子はそのエリートのレールにしっかりと乗ってるわ。でも匠はそこから早々に落ちちゃったの。あなたもそんな落ちこぼれとよく結婚したわね。その感性を疑っちゃうわ。」
「ひどいことを言わないでくださいよ。あなたの息子じゃないんですか?」
「だから何よ?私は思ってることを言ってるだけ。」
「それでね、私たち内定のお祝いをしようってことになったの。色々と店の予約の都合で来月の20日になっちゃってさ。だから式の日を変えて欲しいって思ったのよ。」
「何ですかそれは?それはそちらの予定をずらせばいいだけでしょ。」
「は?なんで私たちがそんなことをしないといけないのよ。」
「それに結婚式は2時くらいには終わる予定です。ご飯は夜からでも問題ないでしょ。」
「どうしてもずらさないのね。」
「当たり前です。変なことを言わないでください。」
匠からは後で連絡があった。あけみが仕事の合間に電話をかけると、匠も母親から同じ話を聞かされていたらしい。
「とんでもない浮かれようでさ、本当にあけみには感謝してもしきれないよ。本当にありがとうな。」
「いや、別に私が何かをしたってわけじゃないわ。それでね、お母さんがたか子さんの内定のお祝いをしたいって言っててね。それが私たちの式と重なってるのよ。だから式をずらせって言ってきてさ。」
「はあ。なんだよそれ。」
「私も正直驚いたというか、呆れたというか。たか子さんを可愛がってるのは分かるんだけどさ、ここまでないがしろにされるのはちょっと。」
「悪いな。本当にあの人は価値観がどうかしてるんだ。自分の目的のためなら何でもやっていいって思ってるタイプでさ。もし欠席する可能性もあるのよ。」
「一応2時までには終わるから来てくださいとは言っておいたけどね。」
「分かった。俺からも言っておく。式には絶対に来てもらわないと困るからな。」
「そうよ。でも俺の意見なんてあの2人は聞いてくれないんだ。あなたに対する扱いがひどすぎる。そもそも俺が大学受験を失敗したのが悪いんだよ。母さんの期待を裏切ってしまったからな。」
「でも今のあなたはちゃんとやってるじゃない。」
「俺は自分がやってることに自信を持ってる。でも母さんが認めてくれることはないよ。それは俺がよく分かってるから。」
「そんなのないわ。家族なのに。」
「うちは昔からいびつな関係性だったんだよ。でも今回はそんなことを言ってられないからな。俺たちの式にはちゃんと出席してほしい。俺たちだけのためじゃなく、あの2人のためにもな。」
「説得は任せてもいい?」
「当たり前だ。俺たち家族の問題だからな。あけみのご両親は問題なく来てくれるんだよな。」
「当たり前よ。張り切りすぎないか不安なくらいなんだから。」
「そうか。とにかく俺がそこはちゃんとやる。だからあけみは何の心配もしなくていいからな。」
結婚式当日。
式場に着くと、匠の両親だけでなく、親戚たちの姿が見えない。あけみが匠の母に電話をかけると、相手は冷たい声で言い放った。
「もしかして本気で欠席されるおつもりですか?」
「何よ?欠席したらダメだっていうの?あんたらの仕切ってるのに、行かないといけない義務があるわけ?」
「匠から説得されたんじゃないんですか?」
「あんな奴の意見なんて聞いてられないわ。どうしようもない。迷惑なんだから。あんな奴の命令なんて私は聞かない。」
「親として息子の結婚式に出るのは当然でしょ。」
「私はあいつの親だなんて思ってないから。私の期待を裏切るような奴は家族でも何でもないわ。」
「どうしてそんなことを言うんですか?」
「それだけのことをあいつはしたのよ。私がどれだけの金を費やして育てたと思ってるの?それなのに何の見返りもよこさないなんてね。私の子供はたか子だけよ。そのたか子のお祝いがあるのだから、そっちを優先するのは当たり前のことでしょ。あんたらの結婚式より娘の内定祝いの方が大事。」
「信じられない。見返りを求めて子育てをするなんて。」
「子供も産んだことのないあんたに何が分かるのよ。」
「もういいです。あなたがどうしようとご自由に。」
「言っとくけど、私たちだけが行かないってなると角が立つから、親戚中にも欠席するようにって言ってあるわ。」
「なんですって?」
「まあ、理由は適当にそっちが悪い感じで伝えてあるの。みんなあんたらのことをすごく嫌っちゃったわ。それはごめんなさいね。」
「ふざけないでくださいよ。どこまで自分勝手なんですか。親族全員欠席ね。式場がすかすかで。そこまであなたはするんですね。」
「怒っちゃった?」
「ええ、とってもむかついてます。この借りはきっちりと返させてもらいますからね。」
「何かするつもり?」
「それじゃあ、たか子さんの内定取り消しでどうですか?」
数分後、あけみはたか子に電話をかけた。
「たか子さん、これは最後通告だと思って聞いてね。」
「何ですか?いきなり。こっちは内定が決まってウキウキしてるんです。水を差すようなことはやめてくださいよ。」
「幸せな気持ちのままで今後も生活をしたいのなら、今すぐに結婚式に来なさい。そして式が終わったら、親戚の皆さんに母親の言ったことは嘘ですと説明して誤解を解くようにしてください。それがあなたがやらないといけないことです。」
「なんで私がそんなことを。」
「お兄さんのためでしょ。」
「あんな奴は兄でも何でもない。私にとってあいつは恥でしかないから。出来損ないの兄を持つと私の輝かしいキャリアに傷がつく可能性があるの。だから兄はいないと思うことにしたの。大学の仲間にも兄のことは黙ってるし、会社の同僚たちにも兄のことは言わないつもり。だから万が一私がその式に参加してるところを見られたら一生の恥になりかねないわ。だから私はその式には参加しない。」
「そこまでのことを嫌ってたのね。」
「当たり前でしょ。無能は好きじゃないわ。」
「そう。それがあなたの気持ちならしょうがないわね。それじゃあ話はこれで終わり。」
「ええ、そうね。それじゃあさようなら。」
「2度と私たちの前に現れないでね。」
2週間後。
たか子から怒鳴り声の電話がかかってきた。
「ちょっとこれ、どういうこと?」
「あら、どうかされましたか?」
「どうかしたじゃないわよ。あんた何をしたの?」
「何のことかわかりませんが。」
「内定が取り消されたのよ。」
「ええ、そうなんですね。」
「とぼけっくれるんじゃないわよ。あんたの仕業でしょ。」
「私に何ができると言うんですか?」
「あんた、母さんに内定を取り消すとか言ったんでしょ?実際に取り消されたんだから、あんたの仕業に決まってるわ。」
「よく覚えてましたね。不愉快なことを言うから印象に残ってたのよ。」
「それであんた何をしたの?どうせ私のあることないことを会社に行ったんでしょう。そんなことをしていいと思ってんの?」
「あら、どうして怒ってるんですか?あなたの母親は私たちのあることないことを親戚中に言いふらしてたんですよ。おかげで誰も来ず、寂しい思いをしたんです。そんなことをしたくせに、自分がされたら怒るんですか?」
「それは私がやったことじゃないわ。母さんが勝手にやったことでしょ。私には関係ない。」
「まあ、それはそうですね。ちなみに私が会社に何か言ったとか、そういうことはないですよ。」
「じゃあなんで内定取り消しなんて。」
「今回の式を私の父はとても楽しみにしてたんです。一人娘の晴れの舞台ということで張り切ってて。」
「それが何よ。」
「私の父は劇場の重役なんです。」
「は?」
「もちろん、あなたたちがやったことは全て父に説明しました。それを聞いてとても怒ってましてね。そのような嫌がらせをする人間は信用できないと言って、内定を取り消すことにしたそうですよ。」
「ちょっと待ってよ。あんたが大企業の取締役の娘だっていうの。」
「そうですよ。」
「嘘よ。なんでそんなことを言わなかったの?」
「昔から色眼鏡で見られてきたんですよ。私はそれが嫌で、できるだけ隠して生活をしてたんです。匠にも最初は隠していました。でも匠は私の父のことを聞いても何も変わらずに接してくれたので、そこで結婚をしようと思ったんです。たか子さんたちにも式で紹介をしようとは思ってたんですけどね。でもお二人とも来られなかったので。」
「あんたが言ってれば……言ってたわよ。」
「こんなことしないと来ないんですか?あなたの兄の結婚式なんですよ。」
「それはそうだけど。」
「それに欠席したことよりも、親戚も参加させないようにしたこと。あなたたちの悪質な嫌がらせに父は怒ってましたよ。そりゃ、一生に一度の式をぶち壊しにする行為ですからね。怒るのも当然だと思いますが。」
「今から謝るから、あなたのお父さんの連絡先を教えて。」
「嫌ですよ。」
「だったらあなたから説明をしなさい。あれは全て母さんがやったことで、私は無関係だと誤解を解きなさいよ。」
「私が親戚の人に誤解を解いてくれとお願いした時、あなたは動いてくれましたっけ?」
「それは、してないけど。」
「だったら私だって嫌ですよ。匠のことを大切にしない人のために動く義理なんてありません。」
10分後。
匠のもとにたか子から電話がかかってきた。たか子は泣きわめいていた。
「兄さん、どうにかしてよ。私、内定取り消されちゃったんだよ。このままだと無職になっちゃうって。」
「いきなり喚くなよ。こっちは仕事中だぞ。」
「こっちは人生の崖っぷちなのよ。仕事なんていいから私のために動いてよ。」
「内定取り消しのことか。」
「そうよ。向こうの親とは知り合いなんでしょ。」
「当たり前だ。よくしてもらってる。」
「だったら今から連絡して私の誤解を解いてよ。私は好きで欠席をしたわけじゃないからね。母さんに言われて仕方なくやっただけなの。兄さんなら分かってくれるでしょ。」
「お前が母さんの言いなりになるような性格じゃないことはよく分かってるよ。それにあけみがお前に連絡をしただろう。その時にはっきりと、お前の意思で行かないと言ってたはずだ。余計なことは言わずに、別の会社で採用してもらえるように頑張れよ。」
「ふざけないで。あんたはいつもそうよね。私が成功するのを邪魔ばっかりしてさ。どうせ腹の中では私の失敗を喜んでるんでしょ。あんたみたいな奴がどうして私の兄なのよ。」
「ふざけんな。俺は心からお前の幸せを望んでたよ。」
匠の声が低くなった。
「母さんの性格は俺が一番よく知ってる。あの人は肩書きだけを求めてる。子供には自分の思い描く人生を歩ませないと気が済まないんだよ。俺はそのせいでないがしろにされ続けていた。本当に辛かったよ。だからこそ、お前には俺みたいな思いをして欲しくなかった。お前は大学は一流大学に進学できた。でもあの人はそれで満足しない。大企業の採用をもらわないと、きっとたか子にも辛く当たるだろう。だから俺はお前のために、あけみに頭を下げたんだ。」
「どういうこと?」
「お前が劇場の採用試験を受けるというのは知ってた。だからあけみになんとか採用してもらえないかとお願いをしたんだ。実際にあけみはお父さんに口を聞いてくれたらしい。そこから先どうなったかまでは俺は分からない。ただ、重役のお父さんにはそれだけの力があるだろうとは思ってた。結果、お前は内定を獲得することができたんだ。」
「じゃあ、私のために……?」
「そういうことになる。こんなことをあけみやお父さんにさせてしまったのは本当に申し訳ないと思ってる。これから俺はできる限りお父さんたちに恩返しをしていくつもりだ。ただ、お前はそのチャンスを自ら握りつぶした。これ以上俺がどうすることもできないよ。」
「ふざけるな。なんで私のことを見捨てるのよ。散々私に迷惑をかけてきたんだから、私の役に少しは立ちなさいよ。」
「俺のことはどうされてもいいんだ。お前にとって俺はいい兄ではなかったからな。だとしても、俺にはもう他に守るべきものがあるんだよ。」
「守るべきもの?」
「そうだ。あけみだよ。あけみは結婚式をいいものにするために入念に準備をしてくれていたんだ。お父さん以上に張り切ってたのはあけみなんだよ。そんな式をお前は台無しにしたんだ。俺はそれだけは絶対に許さないからな。今後俺はお前のためには何もしないからな。もし何かまた欲しいというのなら、自分の力でなんとかしろ。」
1時間後。
匠の母からあけみに電話がかかってきた。
「あけみさん。話は聞いたわよ。あなたのお父さんってお偉いさんだったのね。」
「お母さん、私がたか子さんのために何かするってことはないですよ。」
「そんなことは私もどうでもいいのよ。今回の件は全てあの子の自業自得でしょ。」
「それはそうですけど。」
「だったら私たちがこれ以上あの子に何かをするってことはないわ。ここから先は自分でやるべきなのよ。だってもう大人なんですもの。」
「そうやってすぐに見切りをつけるんですね。」
「え?何が?」
「いえ、別にいいですけど。内定のことでないのなら、何のお話ですか?」
「そりゃ、家族としてあなたのご家族に挨拶をさせて欲しいのよ。本来なら両家顔合わせとかをしておくべきだったでしょ。」
「でもそれは式でするってことになってたじゃないですか。」
「そうですね。でもあなたたちは来なかった。色々あったのよ。私は匠のことを誤解してたわ。どうしようもない息子だと思ってたけど、まさかこんなことになるなんて。これって逆転とかて言うのよね。本当にあの子のことを見直したわ。こんな形で私に恩返しをしてくれるなんてね。」
「すみません。もう聞いてられないです。あなたの自分勝手なお話は聞いてられないと言ってるんですよ。」
「自分勝手って何よ?」
「匠はあなたに認めてもらうために私と結婚したわけじゃないですよ。私たちは愛し合ったから結婚をしたんです。変なことを言わないでもらえますか?」
「どっちでもいいわよ。とにかくあなたのご両親に合わせてもらえる?」
「あなたは自分が何をしたか忘れたんですか?うちの親があなたに会うわけがないでしょ。」
「親戚連中の誤解はすぐに解くわ。それに式のことも全部やるわ。なんなら私が式を主催しましょうか。それでも水に流してくれるわよね。」
「頭がおかしいんじゃないですか。もういいです。あなたとは話ができません。今後、私たちに関わらないでください。LINEもブロックさせてもらいますから。」
それから1年後。
匠の母が突然、あけみの前に現れた。
「お母さん、お久しぶりです。」
「あら、どうかしたの?全然連絡くれなかったのに。もしかして孫とかそういう話かしら?」
「いいえ、違いますよ。むしろ2度と会いたくないという話です。」
「どうしたのよ。」
「匠に迷惑をかけるようなことはしないでください。」
「迷惑ですって?私はあの子を褒めてあげようと思ってるだけよ。自分で会社を起こして成功するなんてすごいじゃない。どうしてもっと早く教えてくれなかったの?テレビでインタビューされてるのを見て仰天しちゃったわ。」
匠はフリーランスでエンジニアをしていたが、式を上げる少し前から自分で会社を起こしていた。最初は大変だったらしいが、匠の作ったアプリが話題になり、今は有名な企業の社長になっている。
「匠はあなたに会いたいとか言ってないでしょ。」
「言ってるわけないでしょ。あなたは自分が匠に何をしてきたか覚えてないんですか?」
「厳しくしてきたわ。でもそれはあの子に成功してほしいからよ。」
「違います。あなたのやったことは厳しさでも何でもない。単なる嫌がらせですよ。そんなことをした人に会いたいなんて、誰が思うもんですか?」
「許してくれないの?」
「許すわけがないでしょ。」
「でも私ね、今とっても困ってるのよ。たか子は勝手に家を出てっちゃってさ。私、あの子の稼ぎがあると思って色々と指輪とかバッグを買っちゃってたの。そのローンの支払いが本当に大変です。」
「つまりあなたは自分の子供を財布代わりに使おうとしてたんですか?」
「だってここまでお金を使って育ててきたのよ。」
「そんなの関係ありません。親が子供を育てるのは普通のことです。それなのにどうしてあなたはそうやってすぐに見返りを求めるんですか?」
「悪かったわ。私が間違っていた。だからせめて匠に合わせてよ。あの子全然私に返事をくれなくて。」
「当たり前でしょ。もう無関係なんですから。」
「一言私の置かれてる状況を伝えてくれればいいの。したらきっと助けてくれるって。」
「家族でも何でもないとあなたは言ったんですよ。式をあなたは台無しにしたんですよ。そんなことをしたくせに、まだ助けてもらえると本気で思ってるんですか?」
「とにかく1度会って話をしましょうよ。詳しく私の話を聞いてくれれば……」
「すみません。今日は匠と食事をする約束がありますので。そしてこの先もずっと予定が詰まっています。ですので、お会いすることはないでしょうね。」
「そんな先のことなんて分からないじゃない。」
「あなたと会うよりも大切なことはたくさんあります。でも、ドタキャンされるよりはマシでしょ。」
その後、匠の母はローンの支払いに困り、消費者金融からお金を借りることに。当然今度は返済に困り、最終的に匠に何とかしてもらおうと会社に張りつくようになった。しかしそんなことが許されるわけもなく、すぐに通報されて警察に連行されることになった。その後は接近禁止命令が下され、それから匠の母がどうなったかは誰にも分からないらしい。
ちなみにたか子はすぐに他の会社で内定をもらったそうだが、周りへの高圧的な態度が原因ですぐに首になった。そしてお金に困ると逆転を狙い婚活をしているらしいが、人を見下す性格がすぐにバレてしまって、誰からも相手にはされていないようだ。
一方、匠とあけみは幸せな生活を送っている。匠の会社はどんどん成長していて、今は海外進出を目指していると聞いている。それでも匠は夫婦の時間を大切にしてくれていて、あけみが寂しい思いをすることは一度もない。そして、いつか子供ができたら、自分たちのエゴを押し付けず、のびのびと育てたいねと、二人で話している。
