「お母さん、さっきのあれは何ですか?」
美佐の声は、親戚の笑い声が飛び交う座敷の中で、異様に静かに響いた。
「みさ、どうしたの?急に。あれって何のこと?」
「入学祝の件です。親戚が大勢いる前で、あんな露骨な差別をするなんて」
「はあ?差別?どこがよ。こういうのは年功序列でしょ。長男夫婦の息子、大地君には入学祝金十万円。そして、大嫌いな次男夫婦の娘にはポテチ一袋。どうぞ。文句あるなら言ってくれていいのよ」
「最低すぎます。あんな露骨な差別をして私たちを馬鹿にして……その場で文句を言えば、私のことをお金に口を出す嫌な嫁に仕立て上げられる。そういう狙いでしょう?」
「そんなつもりはないわよ。事実として、あなたの娘なんてポテチで十分でしょ。あの子には期待してないから、お金を払うだけ無駄なのよ」
義母の言葉に、美佐のこめかみがぴくりと動いた。
「うちの大地は頭のいい私立に通うからお金もかかるの。大地は特別なのよ。それに芽衣ちゃんは、この先期待しても無駄。どうせ野生児になるに決まってるわ」
「野生児って……ひどすぎます。なんでそう言い切れるんですか?」
「だってあなたの家系って、そこの悪い子で有名でしょ。小学校だって修学旅行で問題を起こしたって伝説になってるじゃない」
「確かに昔はそういうこともあったみたいですけど、それはもう十年以上前の話です。芽衣が通う予定の学校を勝手に決めつけて馬鹿にしないでください」
「芽衣も大地と同じ孫なのに、同じじゃないって言ってるでしょ。大地のところは教育にお金をかけてるから大変なの。あなたのところは、どうせ大した教育もしてないんでしょ?」
「それって決めつけですよね。私、習い事の話は一切お母さんにはしてませんけど」
「強がっちゃって。私は知らないけど、裕二がそんなに稼げるわけないし。習い事をする余裕もないでしょ。惨めになるから習い事の話もしない。どうずうずうしいでしょ?」
美佐はふっと息を吐いた。その目は、もう揺れていなかった。
「私と裕二さんの年収を合わせたら、千二百万になるんですけど」
「嘘ばっかり。じゃあ、月三十万の仕送りなしで?」
「ああ、なんでいきなり仕送りの話になるんですか。それとこれとは別です」
「お母さんに送っている仕送り三十万をやめて、芽衣に使えばいいんじゃないかって言いたいんでしょ。ええ、どうぞ言いなさい。ただし、一言余計だけどね。あの仕送りは裕二がやってるんだから、嫁が口出ししないでちょうだい。これは親子の問題よ」
「あの仕送りは確かに裕二さんの口座からですが、お金自体は私も出してるんですよ」
「そんなの関係ないわ。仕送りをやめるなんて絶対にさせない。そんなことしたらどうなるか、分かってるでしょうね?またあんたの家に乗り込んでもいいのよ」
「それは勝手にしてください。ただし、裕二さんの仕送りはあくまで親子のこと。私が口出ししていい問題じゃないとおっしゃるなら、私が口を出すまでもありませんからね」
「ああ、これだから分かってない頭は困るのよ。こんなことも分からないから、子供も期待できないのよ。理解しなさい」
その言葉を最後に、義母は顔をそらした。美佐は何も言わず、湯飲みに口をつけた。
同じ時刻、庭先で義兄の優一が芽衣に話しかけていた。
「あの、みささん。ちょっといいですか?」
「え?ああ、お兄さん。どうしたんですか?」
「今日、親戚の集まりで会いましたけど、うちの子、受験なんですよ。それなのに芽衣ちゃんが、大地に馴れ馴れしく話しかけてきて。大事な時期なんで、話しかけないでもらえます?」
「馴れ馴れしくって……子ども同士ですし、それに芽衣はちょっと挨拶しただけですよ」
「それが迷惑なんですってば。理解してます?全く、大事な時期なのに大地にストレスかけて。みささんが嫁なんですから、子供の躾くらいちゃんとしてください」
「もしも芽衣が大地君に対して何か気に触ることをしたのなら謝ります。でも、大地君の方から芽衣に話しかけられて迷惑だと言われたわけじゃないですよね。子供たちの関係性に口出しをしすぎるのはどうかと……」
「ああ、親が親なら子は子、とはよく言ったものですよ。同じ年なのに学習力が違うな。一般家庭だから仕方ないですけど。ここまで人の話を聞かないとか、弟も見る目がないんですね」
「ちょっと、何なんですか?さっきから失礼ですよ」
「本当のことでしょう?大地は頭がいいから、芽衣ちゃんとは違うんです。うちの大地は私立に挑戦してるんですよ。受験だって難しいし、大地も頑張ってる。みささんのところは、身の丈に合った学校でいいですよね。こっちの苦労も知らないで」
「いい加減にしてください。勝手に決めつけて話を進めないで。お母さんといい、お兄さんといい、こちらを見下すのはやめてください。不愉快です」
「でも実際、教育にお金かけてないですよね?旦那さんにもっと稼いでもらってくださいよ。生活に余裕がないから、そういう風になるんでしょう?」
「随分偉そうに言ってますけど、それならお兄さんはどれだけ習い事にお金かけてるんですか?」
「大地はサッカー、ピアノ、あと書道もやってます。習い事だけで月五万はかかりますね。塾も含めると月八万。遠征とか発表会が重なれば十万にもなる」
「それで分かりましたか?うちはあなたたちとは違うんです。馬鹿が移るんで、大地に近づかないでください」
「はあ?今、何て言いました?芽衣を馬鹿と言いましたよね。謝ってください」
「実際より学力が低いんですから、事実でしょう。めんどくさいなあ。ヒステリック起こさないでもらえます?親戚だから多めに見てますけど、自分が恥ずかしいことしてるって自覚してくださいね」
「どの口がそれを言うんですか?」
その言葉を残して、美佐は家の中へ戻った。
座敷に戻ると、義母が他の親戚に話しかけているのが聞こえた。
「ちょっとみささん、優一に文句を言ってるみたいね」
「文句?娘を馬鹿にされて、訂正してくださいって言ってるだけです」
「事実でしょ。やっぱり優一は教育熱心で偉いわね。それに比べてあなたは、習い事にいくらかかってるか聞くなんて、はしたない。あなたがそんな低レベルだから、芽衣ちゃんには期待できないのよ」
「さっきから低レベルだのなんだの、言いたい放題。それならあなたたちは、そんなに賢いんですか?」
「あなたよりはましよ」
「今まではあまり関わり合いたくなかったですし、トラブルになっても仕送りはやめなかった。でも、もう限界です。娘を馬鹿にして、あなたたちのことは絶対に許しません」
「ちょっと、いきなり何よ?何の話?突然話を変えないでもらえるかしら。会話にならなくて嫌になるわ」
一週間後、義母から電話がかかってきた。
「みさ、裕二に振り込みするように言いなさい。既読無視してるの?急な要件なら私が伝えますよ」
「そう。それじゃあ言うけど、仕送りがまだされてないのよ」
「ああ、その件ですか。それは、ないでしょうね」
「はあ?なんでよ。どういうことか説明しなさい」
「前にも言ったのに、理解してないんですか?私よりとっても賢いお母さんなのに。低レベルな私に説明を求めるということは、なんですの?」
「さっきから馬鹿にしてるわけ?」
「ああ、これだから自分勝手な考えで人の話を理解しようとしない人は困ります」
「なんですって」
「それじゃあ、自分の妄想を信じて病まないお母さんに、分かりやすく現実を教えてあげますね。前にも言いましたが、仕送りって私のお財布から出てるんですよ」
「それなら、仕送りを止めたのはあなたってこと?」
「そうなりますね」
「それならすぐに振り込みなさい。私だって貯金もないから困るのよ。あなたは嫁でしょ。親子の仕送りに関係ないくせに、何勝手なことしてるの?」
「関係ないですけど、私のお金ですから」
「裕二の稼ぎでしょ。あなたも出してるって、どうせ数万程度のくせに」
「違いますよ。裕二さんの手前、私も出してると言いましたけど、実際は私が全額払ってました。だって私の年収は七百万円。裕二さんの年収は五百万円ですから」
「え……あれ?私の年収の方が高いって、知りませんでした?知りませんよね。だって言ってませんでしたし」
「そ、そんなはずだ……。だったら裕二がもっと働かないとな。そう思ってたのに」
「それは、今は稼げてないっていうことですよね?そりゃ私が三口になったんですから収入は減りますよ、多少は。それに子供ができたんですから、もっと働かないとって思うのは普通では?」
「そ、そんなことって……」
「ああ、いつも馬鹿にしていた女が、実は自分より稼いでいたって驚きましたか。私はお母さんの方に驚いてますけどね。お母さん、さっき貯金がないって言ってましたよね。毎月三十万もお渡ししていたのに、貯金が全然ないのはなぜですか?」
「う、色々お金がかかるのよ。物価高騰だし」
「本当ですか?パートもされてますよね。それなりに収入はあるはずなのに。貯金ができないって……もしかして、別のところに使ってるんじゃないですか?」
「使ってないわよ!」
「そうですか。それなら仕方ないですね。なら仕送りを再開しますよ」
「分かればいいのよ。分かれば、さっさと振り込みなさい」
「はい、今銀行アプリで振り込みました。確認してください」
一時間後、義母から怒りの電話がかかってきた。
「ちょっとどういうこと?百円しか振り込まれてなかったわよ。あれのどこが仕送りっていうのよ」
「え、ちゃんと振り込んだのに。ひどいですね。でも、お母さんに文句を言われる筋合いはないですよ。今月から仕送りはポテチ一袋分の金額にしたので」
「何それ?ふざけてるの?そんな冗談やめなさい」
「冗談じゃありません。ポテチで十分ですよね。だって私、お母さんに何も期待してないので。期待してなければポテチで十分っていうのが、お母さんの理論なんですから。私もその理論に乗っからせていただきました」
「なんなのよ。さっきから私を困らせて楽しいわけ?」
「そんなことないですよ。ただ、お母さんにされたことと同じことをしているだけです。ああ、でも全く同じじゃないですよね。だって私たちの方がもっとひどいですし」
「ひどい?何言ってるの?入学祝と生活費じゃ用途も全然違うし、私の方が困るわよ」
「そうですか。確かに、本当に生活費がなくなったら大問題です。でもお母さんの場合は違いますよね」
「な、何を言ってるの?」
「長男夫婦は習い事にすごくお金をかけているそうで。確か月八万でしたっけ?多い時は十万とか、すごいですよね。借金までしているのに」
「はあ。何をバカなことを。そんな出鱈目、言わないでちょうだい」
「ママ友のコミュニティで、優一さんの借金は有名ですよ」
「ママ友コミュニティ?あなたたち、保育園は違うでしょ?」
「あれ?お母さん、忘れてません?期待してない孫の年齢なんて気にしませんよね。芽衣と大地君は同じ年。保育園は別でも、地区は同じです。公園で交流すれば、ママ友同士で情報共有できるんですよ。実際、よく芽衣と遊んでくれるお友達のママさんは、優一さんと同じマンションに住んでますし」
「そ、そんなところで繋がってるの?」
「主婦って噂話が大好きなんですよ。だから色々教えてくれました。聞いた話によると、優一さんが住んでるマンションって結構いいお値段しますよね。過去にローンが払えなくてオーナーと揉めたとか。ママ友にこっそりローンの金額を聞きましたけど、優一さんの年収だと、子供の習い事に月八万もかけられる余裕なんてないですよね。子供の習い事のために借金。そして、私の仕送りは優一さんの借金返済にまるまる流用されてたんですね。だから貯金もない。だって、まるまるあげてるんですから」
「そんなことしてないわ!」
「それなら通帳を見せてくれませんか?何に月三十万使ってるのか、知る権利はありますよね」
「それはプライバシーで見苦しいんですよ!」
「私たちを散々馬鹿にしてたくせに、私たちのお金を使って息子の借金を返し、さらに孫を差別して。情けなくないんですか?」
「うるさいわね。大体、仕送りは善意でしょ。もらったお金をどう使おうと、私の勝手だし。送ってるのはそっちじゃない」
「確かに、受け取ったお金をどう使うかはお母さんの自由です」
「でしょ?なら文句を言うんじゃないわよ」
「でも、仕送りは強要されたものです。ずっと前に仕送りをやめた時、お母さんは私たちを脅しましたよね。私が妊娠中で体が重かったのに、家まで突撃してきて、何時間もすごい剣幕で怒鳴り散らした。あの時は本当に怖かった。仕送りをやめたら子供にまで手を出すんだろうと、私も夫も感じました。実際、今だって同じ孫なのに芽衣を差別しています。子供を守るためにも、仕送りを続けていたんです。最初は十万くらいでした。それが気づけば三十万。そのお金があれば、私たちだって余裕があったのに。そう思いながらも我慢して、我慢して、我慢して。それなのに……仕送りしたお金は、長男の借金に消えていた。よくも私たちを脅して、優一さんの借金を片付けさせましたね」
「そんなんじゃないわよ!大体、あんたの娘は大地と違って賢くないんだから、お金かからないでしょ」
「まだそんなこと言うんですか。分かりました。それなら、芽衣の受験結果をお伝えしますね」
「受験?何の?」
「芽衣も小学校受験していたんです。揉めると思って黙っていましたが……あの子も受けてたの?」
「ええ、ちゃんと合格しましたよ。大地君よりはるかに優秀な学校にね」
「そんなバカな」
「学校名は伏せますが、かなり難しい学校で、芽衣も頑張っていました。お母さんはうちの子に期待なんてしていなかったようですが、期待してない子の方が優秀だったようですね」
「嘘よ。そんなはずない。そんなことあるはずないのよ」
「認めたくないですよね。下に見て、お金を巻き上げるだけのATM。家族が大好きな長男族より、実は賢くて優秀だったなんて。けど、私たちはただ黙って従っていたわけじゃない。裕二さんがずっと家族の犠牲を強いられてきたのに文句を言わなかったのは、私たち家族を巻き込みたくなかったから。家族を守りたがったからです。でも、あなたたちはそんな裕二さんの気持ちを踏みにじった。私たちの大切な名誉をないがしろにして、月三十万も騙し取っておいて。『大嫌い』って何なんですか?恩を仇で返すとは、まさにこのことですね。ポテチ一袋って、孫を何だと思ってるんですか。絶対に許せません。もう二度と仕送りはしませんし、私たちは引っ越します。縁を切るので、今後はどうぞ長男族と生きてください」
「ま、待ってちょうだい!あの子に私を養う余裕なんてないのよ!お願いだから仕送りを元に戻して!優一のことは私がなんとかするから!」
「今更何を言っても遅いんですよ。大嫌いな人にお金を上げるなんて、そんな屈辱的なこと、もうしたくないですし」
電話を切った直後、今度は義兄の優一から夫の裕二に電話が入った。裕二は静かに受話器を取った。
「ちょっと待てよ。話が違うじゃないか。仕送りをやめるなんて。母さんを困らせるなんてひどいだろう」
「これはこれは、優一さん。何のことかと思えば。笑わせないでもらえますか。仕送りが止まって困るのは優一さんでしょ?借金返済ができなくなりますものね」
「そんなの知らないよ。それに何か勘違いしてるみたいだけど、母さんから俺がお金をもらうのは当然なんだ」
「当然?なぜですか?」
「大地にはお金がかかるんだ。知ってるだろう。教育費がすごくて、私立の小学校なんだから仕方ないだろ」
「ああ、そういえば大地君の受験結果はどうでした?もう受験終わってますよね」
「今は関係ない話だ」
「終わってるんですね。実は、第一志望の難関校に落ちてたって聞きましたけど」
「なんだと?」
「大地君が受験していた小学校に、うちのママ友さんも受験していたんです。『うちの子だけ受かって気まずいわ』って言ってましたよ。ああ、別に嘘だと思ってもらっても構いません。どうせすぐバレる嘘ですから」
「くそっ。なんでバレるんだよ」
「習い事に月八万かけても、結果が出ませんでしたね」
「やめろよ、そういうの。大地だって失敗することはあるんだ。大体、そっちは受験もしてないくせに」
「芽衣の方が、そちらよりはるかに優秀な学校に合格していたんですよ」
「はあ?そんなわけない。大地の方が上に決まってるだろ」
「これまた、別に信じなくていいですけど。そのうち分かることですよね。隠すのは難しいですし」
「くそ、くそ、くそっ。なんでお前なんかの娘が合格して、俺の息子が落ちるんだよ」
「親に似たのでは?」
「はあ?なんだと?」
「現実を見てください。借金も見栄のため。高額ローンを組み、これまた見栄のために受験と習い事をさせて。お金もない中でそんな無理をすれば、子供がかわいそうですよ。それに、お兄さんは『みささんが嫁なんですから』と偉そうにおっしゃいましたが、弟夫婦からお金を巻き上げて借金返済していた惨めな人に言われたくありません」
「はあっ?俺を馬鹿にしやがるのか」
「弟を見下していましたよね。昔からあなたより優秀で賢い弟が目障りだった。だから、母親に可愛がられていることだけが唯一の誇りなんですよね」
「やめろ。俺はそんなやつじゃない」
「そんなやつなんですよ。そこまで嫌うなら、自分でお金を稼げばいいでしょう。『うちの大地とは格が違う』とおっしゃいましたが、確かに格が違いましたね」
「やめろって言ってるだろう!」
「お兄さんは、裕二さんへの嫉妬で私たち家族を見下してきました。借金を隠して偉そうに説教するなんて、最低です。『芽衣に身の丈に合った学校』なんて、よく言えましたね。身の丈に合ってないのは、お兄さんの方よ。我が家のお金で身の丈を張り続けて、恥ずかしくないんですか?」
「うるさい!とにかく俺たちは金が必要なんだ。今月は十万くらいかかってるし。いいから金出せよ!俺たちは家族だろう。血の繋がった家族を見捨てるのか?」
「家族なら、大切にするべきでしたね。最初から家族として扱ってくれていれば、こんなことにはならなかった。私たちも、大嫌いな義家族にお金なんてやりません。お母さんの言葉をそのままお返しします。お二人には何も期待してません。だって、私たちはポテチで十分な関係ですから」
その後、優一は仕送りがなくなったことで借金返済と高額ローンの支払いが行き詰まり、自己破産寸前まで追い込まれた。結局、マンションから安いアパートへ引っ越したが、環境の変化に耐えられず、大地は手がつけられないほど荒れてしまい、家庭は崩壊した。近所からの通報で、大地は児童相談所に一時保護され、今は穏やかな施設で暮らしているという。
ローンと借金で極貧生活を送る優一夫婦は、今日一日どうやって食いつなぐかを考える毎日だそうだ。義母も、大好きな長男夫婦を失い、生きる希望をなくしたのか、あの傲慢な威勢はどこへやら、今は体調を崩しがちになり、病院に通いながら一人ぼっちで暮らしている。親戚の前であんな孫差別をしたので、親戚からも相手にされなくなったらしい。
一方、私たち家族は義家族のストレスから解放され、生活にも余裕が出てきた。芽衣も新しい学校で充実した生活を送っていて、毎日とても幸せそうだ。
義母は「格が格下」とか言って比べてばかりいたけど、私は、受験をして市立の学校に入学したら格が上だとか、下だとかとは思わない。大切なのは、子供のレベルに合った学校に通わせてあげること。受験はその手段の一つであって、決して他人と競うためのものではないからだ。
娘には、好きなことを見つけて思いっきり楽しんでほしい。そのために必要なことは、親としてできる限りしていこうと思う。
