「今年もそっちに泊まりに行くからお願いね」——その電話が、私たちの年末年始をめちゃくちゃにした。大晦日を数日後に控えた夕方、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けると、義姉家族六人がスーツケースを引いて立っていた。毎年恒例だからと、今年も勝手に泊まりに来たのだ。「ただでご飯が食べられて寝られるんだから、そっちの方がいいに決まってるでしょう」。その言葉に、私は言葉を失った。私はずっと我慢してきた。…
よこちゃん、久しぶり。元気にしてる? お姉さん、お久しぶりです。変わらず元気ですよ。 まさとはちゃんとやれてるの?あの子、何か変なことやってない?もし不満があるならいつでも言ってね。私は基本的によこちゃんの味方だから。 ありがとうございます。でもまさしには何の不満もありません。ありがたいことに仲良くやってますから。 そう、ならよかったわ。うちの方はまあぼちぼちって感じね。子どもがもう四人もいるからさ。正直、夫婦っていうより兄弟みたいな感じになってるのよ。子育てを一緒に頑張ってる同士みたいな。 え、でもそれはそれで素敵ですよ。 そんなことないわよ。もうキラキラした夫婦生活なんてないんだから。私のことを女として見てるかも怪しいわ。 そんなことはないんじゃないですか? どうかしらね。あなたも気をつけないとダメよ。男なんてすぐに飽きちゃうんだから。 そうですね。それで、今日はお願いがあって連絡したの。 どうかしたんですか? あなたの家の近くに大きなテーマパークができたのは知ってるわよね。 もちろんですよ。すごく話題になってますから。まあ、近くって言っても車で二十分くらいはかかりますけどね。 いやいや、めちゃくちゃ近いから。それでね、今年の年末年始、そのテーマパークに行こうかなって思ってるのよ。子どもたちがどうしても行きたいって言うから。 いいですね。 それでホテルを取ろうと思ったんだけど、どこも満室でね。 そうなっちゃいますよね。 だから、その間だけあなたたちの家に泊まらせてくれないかしら。一部屋貸してくれるだけでいいんだけど。 ああ、なるほど。そういうお願いですか。 大きな家を買ったって写真で見せてもらったからさ。そこの部屋を一つだけでいいから貸してくれない? それってまさしには話したんですか? うん。まずはよこちゃんに聞こうと思って。多分まさしはOKしてくれると思ったから。 まあ、私も問題ないですよ。年末年始を大勢で楽しく過ごせるのはいいことですから。 本当に嬉しいわ。子どもたちも、よこちゃんたちに会えるのが嬉しいと思うのよ。 いえいえ、それはお互い様ですよ。それじゃあ、私の方からまさしに聞いてみましょうか。 そうしてくれるとありがたいわ。頼んでいい? ええ、もちろん。きっとまさしも快諾してくれると思います。 それじゃお願いね。できれば早めに返事をもらえるとありがたいわ。 わかりました。 まさし、仕事中ごめんね。今大丈夫? ああ、問題ないよ。どうかしたの? さっきお姉さんから連絡があったの。年末年始にうちに泊まりたいって言ってるんだけど、別に問題ないよね。 お姉さんが?なんでまた? うちの近くに大きなテーマパークができたでしょ。そこに家族で遊びに行くんだって。でもホテルがどこも取れなかったから、うちに泊まりたいってことらしいのよ。 そういうことか。 あれ、なんか嫌なの? ああ、嫌っていうか、ちょっと気になるというか。 何が? お姉さんってすごく図々しいところがあるんだよ。あんまり優しくすると付け上がるっていうかさ。 そんなの感じたことないわよ。 そりゃ、そこまで接点がないからだよ。俺は一緒に生活してて、何度もそういうわがままの被害にあったことがあるんだから。 まあ、兄弟だからそういうのがあっても仕方ないわよ。 兄弟で住む話なら別にいいんだけどな。 我が家が賑やかになるのは、そんなに悪いことじゃないでしょ。私は家族で楽しく過ごすのは好きよ。うちはあんまりそういうのがなかったからさ。 そうかもしれないけど、家族全員ってことは、友さんも来るってことだよな。 もちろんそうよ。 あの人、何考えてるかわからないから、いまいち何を話していいのか分からないんだよな。仲良くなりづらいっていうかさ。 それこそ今回のことで仲良くなれるチャンスじゃない。長く一緒にいれば新しい一面が見えてくるかもよ。それで仲良くなれたら最高じゃない? お前は本当にポジティブだよな。 こうして家族になれたのも何かの縁なんだから、みんなで仲良くしたらいいなって思ってるのよ。 それは俺も同じ気持ちだよ。でも、あんまり優しくしすぎるのもどうかって話だな。 大丈夫。そんなに悪い人じゃないって。 うん。まあ、わかったよ。部屋が余ってるのは事実だし、そこに泊まってもらう分には何の問題もないからさ。 そうよね。それじゃあお姉さんには大丈夫だって伝えるからね。 ああ、よろしく頼む。 … Read more