「どうしてもバーベキューがしたかったのよ。ちょうどあなたの家があったから使っただけ」 姉から突然かかってきた電話で、私は自分の家が燃やされたことを知った。しかも、私が買ったのは庭なんてないタワマン。姉たちが火をつけたのは、赤の他人の家だった。怒りと混乱の中、私はある決断をした。家族だからって、もう許せるわけがない。…
「なおこ、ちょっと謝らないといけないことがあるの」 電話の向こうで、姉が軽い口調で言った。 「どうしたんですか?急に」 「実は昨日、あなたの家に行ったのよ。それで庭でバーベキューをしてたら、家が燃えちゃった」 「は?なんですって?」 「真剣にごめんね。でもわざとじゃないから」 泣き声が混じるが、本気で謝っているようには聞こえない。 「わざとじゃないとか関係ないですよ。なんで、しかもこんな日にそんなことをするんですか?」 「どうしてもバーベキューがしたかったのよ。ちょうどあなたの家があったから使っただけ。でも私たちには何の怪我もないから安心して」 「そういう問題じゃないでしょ」 「冷たいわね。家族なんだから、これくらいで怒らないでよ。一応こうして報告してあげたんだから。それに、ちょっと庭が燃えて家の壁が焦げたくらいのことよ。あとはそっちで何とかしてね」 「ちょっと待ってくださいよ。お姉さんたちは責任を取らないんですか?」 「私たちに何の責任があるのよ?これは単なる事故よ。私は悪くない。私を悪者にしようって、そうはいかないからね」 「どう考えても悪いに決まってるでしょ」 「とにかく、あとはよろしくね」 そう言って、姉は一方的に電話を切った。 3分後、今度は兄に電話をかけた。 「兄さん、どういうことよ?どうしてこんなことをするのよ」 「望美から聞いたか。まあ、今回は運が悪かったと思うんだな」 「ふざけないで。そもそも勝手にうちの敷地に入るなんて非常識なことをしないでよ」 「兄弟なのに、家に入るのに許可がいるのかよ」 「当たり前でしょ。あそこは私だけのものじゃないんだから」 「何をわけのわからないことを言ってるんだ。とにかくお前はきちんとした処理をしろ。家の持ち主としての責任を果たせ」 「自分のことを棚に上げてよく言えるわね。勝手に人の家でバーベキューなんてしておいて」 「しょうがないだろう。望美がやりたいと言い出したんだ。夫として妻の願いを叶えるために知恵を絞った結果、お前の家が一番いいと思ったんだよ」 「ふざけないでよ」 「しょうがないだろう。天才なんだから」 「どこがよ、どう考えても人災でしょ」 「そもそもお前が家を買うなんて100年早かったんだ。一体どうやって買ったんだ?宝くじでも当たったのか?」 「そんなわけないでしょ。コツコツお金を貯めて買ったのよ」 「悪いことでもしたんじゃないのか。だから今回のような天罰が下ったんだよ」 「自分たちでやったことを勝手に神様のせいにするのはやめなさいよ。どんなところに責任転換してるのよ」 「まともに大学に入ることすらできなかったくせに、家を買う金が貯められるわけがないだろう。俺だってそこまで稼いでないんだ」 「それは不必要な浪費をしてるからでしょ。真面目に貯蓄してたら買えたんじゃないの?」 「偉そうなことを言うんじゃない。とにかく今回のことで懲りたのなら、真面目に仕事をしてお金を稼ぐんだな。汚いお金で家を買っても嬉しくないだろう」 「だからなんで勝手に決めつけるのよ」 「とにかく話はこれで終わりだ。こっちは仕事で忙しいんだ。お前の相手なんてしていられないんだよ」 兄もまた、一方的に電話を切った。 5分後、母に電話をかけた。 「お母さん、今どこにいる?」 「ちょっとお隣さんとお話をしているわ。どうしたの?もう家を出る?」 「大変なことになったのよ」 「どうかしたの?」 「兄さんたちが勝手に私の家でバーベキューをして、火事を起こしたらしいの」 「え?何それ?」 「私だってよくわかってないのよ。でもいきなりお姉さんから連絡が来て、兄さんにも確認したらどうやら本当っぽくてさ」 「あの子たち、どうしてそんなことをしたのよ」 「分からないよ。いきなり言ってきたし。これからどうするの?」 「まずは家に帰ろうかなって思ってる」 「でもちょっとそれって変じゃない?だってあなたの家のどこでバーベキューをするの?」 確かに、私は驚いて気がつかなかった。 「確かにびっくりして気がついてなかったわ。でも姉さんたちは確実に私の家でやったって言ってたし」 「一度ちゃんと確認した方がいいわよ」 「そうね。どうして陽介はこんな風になっちゃったのかしら。昔はとにかく真面目で勉強頑張ってた子だったのに」 「お母さんたちに何か不満を持ってるんだろうけど、具体的には教えてくれなかったもんね」 … Read more