ある日、夫の出張準備を終えて「何か足りないものはない?」と確認したとき、優しかった夫が「お前には無理してほしくない」と言ってくれた。でもその数日後、義母が突然「ついていかないとは、ダメ嫁ね。現地でいい人を見つけて離婚でもすればいいわ」と電話してきた。それからは毎日「車を出せ」「買い物をしろ」とLINEが来て、断れば「あんたより姑が上よ」と言われ続けた。ある日、義母が階段から落ちて「お世話しな…
一通り出張の買い物リストを買い揃えて、いつもの鞄に入れておいたわ。他に足りないものがあったら言ってね。大きいものは現地のアパートに配送を手配しておいたから。 「色々ごめんな。本当は自分でできればいいんだけど、歩みに任せっぱなしで。」 「何言ってるの? 浩一は朝から晩まで働いてるのに、出張準備までしてたら寝不足になっちゃうでしょ。私なら大丈夫だから。何でも言って。」 「ごめんな。本当に助かるよ。」 「ねえ、本当に出張先についていかなくていいの? 今でさえ激務なのに、大阪に行ったらもっと大変なことになるんじゃない?」 「だからこそ歩みについてきてもらうわけにはいかないの。俺のために色々頑張って無理するだろう。歩みの優しさに甘えることはしたくないんだ。」 「そんな夫婦なのに。」 「夫婦だからこそだよ。でもさすがにしんどい時は、二日くらいヘルプで来てくれると助かるかな。」 「当たり前でしょ。ちょくちょく様子は見に行くから。今日も遅くなるんでしょう? 夜ご飯用意しておくから。」 数日後、歩美のスマホに義母から鬼のような連絡が来た。 「ちょっと、歩美さん、あなた何考えてるの? 浩一が出張に行くっていうのに、ついていかないなんてどういうこと? 嫁としての役割も果たせないなんて、本当にダメ嫁ね。まあ、浩一もこれを機に現地でいい人を見つけて、こんな女とはさっさと離婚すればいいんだわ。あんた捨てられるわよ。」 「お母さんが浩一さんを心配に思う気持ちは分かります。でも今回の単身赴任は浩一さんからの提案です。出世のかかった大事な出張で、仕事内容も多岐に渡り激務は必至。私に負担をかけたくないから現地に残っていいって、優しさからそう言ってくれているんです。もちろん浩一さんの助けになるために、日程を細かくしてヘルプに行く予定ですよ。私たち夫婦はきちんとお互いを思って考えています。うまくいっているので、どうぞご安心ください。」 「ベラベラ言い訳していくのが面倒なだけでしょ。早く息子から離婚したって言葉を聞くのが楽しみだわ。」 一ヶ月後、義母からまた無理難題が舞い込んだ。 「ねえ、車出してくれる? 買い物行きたいから。」 「え? なんでですか?」 「なんでですかじゃないわよ。嫁っていうのはね、姑に言われたことは、はい、そうですかって二つ返事で言うことを聞くものなの。」 「そう言われても私も働いてますし、平日のこんな時間に車は出せないですよ。」 「使えないわね。じゃあ今から言うものを買って届けなさい。それくらいやってくれないと困るわよ。ダメ嫁ってことで浩一にちくったっていいんだからね。」 その日の夕方、また義母から連絡が来た。 「明日も買い物してもらうからね。」 「あの、私もそんなに暇ではないので……」 「口応えするんじゃないわよ。嫁っていうのは姑に尽くすものなの。あんたは今旦那もいないから暇でしょ。だったらその分私に時間を使うの。分かったわね。」 その後、歩美は浩一に電話をした。 「浩一、忙しいところごめんね。手が開いたタイミングでいいから、ちょっと聞いてほしいことがあって。」 「今ちょうど休憩中だよ。どうかした?」 「お母さんが急にLINEしてくるようになったの。夫がいないんだから姑に尽くして当然って。車を出せとか、これを買ってこいとか。はあ。」 「あのバ……。とりあえず今日は言う通りに買い物はしたけど、明日以降も続くと困るなと思って。」 「当たり前でしょ。そんなの一回でも無視してよかったのに。俺から言っておくから。歩美は悪くない。あの人からの連絡は全部無視していいから。なんならブロックしていいよ。」 「さすがにブロックまではしないけど。浩一が話を聞いてくれて安心したわ。忙しいところ申し訳ないんだけど、お願いね。」 三日後、義母はヒステリーを起こした。 「あんた、浩一によくチクったわね。罰として買い物に車を出しなさい。」 「あの、浩一に、もうこういうことはしないように言われなかったんですか?」 「なんで私が息子の言うことなんて聞かないといけないの? 母親の方が息子より偉いのは当然でしょ。つまり嫁のあんたは私より下なの。口応えするんじゃないわよ。」 数分後、またメッセージが届いた。 「何無視してんの? さっさと返事しなさい。今日は土曜で仕事休みなんだから、車くらい出せるでしょ。このダメ嫁。いい加減にしなさい。」 「申し訳ありませんが、私ではなくて浩一さんに連絡してください。浩一さんから対応しなくていいと言われてるので、嫁は夫の判断に従わせていただきます。」 数日後、義母が階段から落ちた。 「昨日、階段から落ちたわ。救急車で運ばれて、今は様子見で入院してるわ。」 「そんなにひどいんですか?」 「しばらく通院とリハビリが必要みたい。歩美さん、しばらく私のお世話が忙しくなるから、仕事はやめるか休むか、どうにかしておいて。」 「え、当然でしょ。通院はもちろん、家の中の移動も大変なんだから。腰と足を痛めててね。杖がないと歩けないの。座ったり立ったりするのも一人だとしんどくてね。あ、まあ、あんたダメ嫁でもいないよりマシだから。頼んだわよ。明日から。」 「とにかく一度浩一さんと相談するので待ってください。私一人ではすぐに判断がつきませんので。」 歩美はすぐに浩一へ電話をかけた。 「浩一、どうしよう。お母さんが家の階段から落ちたみたいで。病院に搬送されて、今入院中。しばらくリハビリが必要みたいで、お母さんは当然私を介護要員にカウントしてるみたいなんだけど。」 一時間後、浩一から返事が来た。 … Read more